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2015年07月27日

【感想】映画『死の棘』を観ました

ラボ生の石山です

先日ラボで観た『死の棘』についての感想です。

私がこの作品に『近代小説』の風味を強く感じました。
自分の内面を省みて、ただただ自己否定をする。
しかし、同時に自己再生も願っているのではないか、と思いました。

この映画の中で主人公を取り巻く環境は非常に破壊的で機械的でした。
夫婦喧嘩のシーンでは、妻が夫を責め、夫が耐え切れなくなり反発、妻が謝りだす、夫が謝り宥めだす、がひたすら続くのですが、再生がないのです。ひたすら破壊をしているだけでした。映画中ずっとです。
そして二人の子供です。子供たちは笑いません。感情も見せることなく、時には客観的な状況まで話していました。
言葉使いもこの4人だけ客観的な感想のような堅苦しいように感じました。夫の浮気相手の言葉遣いが感情豊かで現代のような話し方をしていることもあり、より家族のおかしさを強調しているように感じました。

映画の最中に挟まれている奄美のシーンはそれほど多くはありませんでした。
戦場の回想シーンは懐古的で、昔はよかった、という描かれ方だと感じます。
他の奄美の回想シーンは、『奄美』という存在に『再生』という立場に位置づけ、夫婦喧嘩という破壊に対比させているのではないかなと考えました。子供の笑い声が入っている回想シーンもあり、こちらは夫婦の子供たちがいかに無感情であるかを際立たせているのではないかと考えました。

そして奄美の要素としてもう一つ。それは『妻』です。
私は私の読んだ限りの近代文学においてこれほど『強い妻』が描かれていることはありませんでした。
これもこの作品における奄美の要素のように感じます。

この映画の最後、子供たちは奄美の祖父母の元へ行く、となって終わります。
これはやはり破壊的でしかなかったこの家族の『再生』への一歩なのではないかと感じます。

以上をもって、この映画における奄美の描かれ方は『再生』になるのではないかと考えました。
(by ishiyama)


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